2022/08/03

7月 講習会

『枝の更新と整枝 夏の対策』

講師 星隈 秀雄

今夏の特徴及び注意点

・今年は梅雨が短く雨が少ないため乾燥しており、暑さも長く続いているので、ハダニやアザミウマが多く発生している。
・雨が少なく虫が死んでいないので秋にも虫の発生が危惧される。
・地植えではこの暑さによる乾燥のため水を遣っても直ぐに乾いてしまうので注意すること。
・今の時期から8月中旬から下旬にかけてどれだけ手入れが出来るかで秋花の出来が決まる。

整枝

・風通しを良くし、薬剤が全体に良くいきわたるよう古い枝や不要な枝を取り除くことが目的である。
・春以降に成長した幹・枝の場合は、花を取る程度の剪定とし、大きな剪定はやめること。

薬剤散布

・気温が高いので薬剤が乾くのが早く濃度が高くなる可能性がある。このため、規定の濃度より薄くすること。また、散布は気温が低い早朝や夕方に行うこと。
・ハダニは、高温により発生サイクルが早くなるので、発生した場合は4日間隔ぐらいのサイクルで薬剤散布を行うこと。

施肥

・雨が少ないので、固形の肥料では後々まで残る可能性がある。その点、液肥はそういう心配がない。

 

ハダニの発生について(会員持参のバラ苗を教材にして)

・一見、健康そうに見える葉の裏にハダニが発生している状況について説明あり。 
・乾燥すると、ハダニが発生する。駆除するには3~4種類のダニ剤を準備し、卵には効果が無いので4日おきに3~4回葉の裏に散布すること。この場合、一方向からだと葉脈などにより薬がかからないところがあるので数方向から散布すること。ハダニは水を嫌うので、途中で水を散布すると効果が上がる。また、鉢が少ない場合は、筆で塗ってやる方法もある。
 

質疑

・2番花やつぼみの扱いは?

今年は雨が少なくアザミウマ等の虫が多く発生しているので良い花は咲かない。気温が高くなっているので虫も多くなっているようだ。このため、咲かせずにつぼみは摘み取って地面に捨てずに袋に入れてゴミとして処理している。対策として、ダントツ粒剤やオルトランdx粒剤を撒くのが良いが、なかなか減らないのが現状である。

スリップスは、赤色の花にはあまり来ず、白色の香りがある花に集まるようだ。

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『座談会』


今回は3班に分かれ、各会員の栽培状況、困っていること、疑問点等について意見交を行った。以下、私が参加したグループの意見交換内容については以下の通りです。


・2番花を咲かせると株が弱り葉が減るため、今年は一切咲かせなかったら葉が多く残っている。

・新芽や蕾をピンチする場合は枝がシッカリしている朝行うこと。昼間は枝が柔らかくうまく切れない。

・9月には枝が鉛筆程度の大きさにならないと花が咲かないので、脇芽がそれまでに鉛筆大になるのであれば残すし、ならないのであれば余分な枝は残さないようにする方が良い。但し、株を育てるのならば残すこともある。また、4年目以降の枝では花が咲きにくくなるので根元から切除し、日当たりを良くしベーサルシュートが出やすくすること。

・今年は梅雨が短く暑さが続いているので、ハダニやスリップス等が多く発生しているうえ、夏の暑さのためさらに株が弱っている。ハダニ対策としては、先ずホースの口を指で潰して勢いをつけた水で3方向から葉の裏にかけてやるのが良い。それでもハダニが残っている場合に薬剤で処置すること。

・ツルバラのシュートが出にくいのは、雨が少ないのが原因と思われるので水やりが必要と思われる。

・鉢植えは時間が経つと表面が堅くなり、鉢の中には水みち水ができ鉢全体に水が行き渡らなくなるので、バケツの中に漬ける等の処置が必要となる。ただ、その前に土替えが必要である。

・1日1回水遣りをしても株が弱るのは鉢が小さすぎることが原因と考えられるので、鉢替えが必要と思われる。




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『私の庭作り』

(バラの移植その他)

講師 倉富 治郎

定年退職を機に、福岡市東区の住居から、かねてから希望していた朝倉市美奈宜の杜(シニアタウン構想)へ新たに住居を新築するにあたり、新たに昨年12月から今年4月にかけて庭造りを実践されてのでその状況についての報告です。

・現住居の問題点は、薬剤散布の問題、パン窯の煙に対する苦情、南側に総2階作りの建物が建ち庭の1/3が半日陰状態となった、スペースが狭い等がありました。

・移転先は、南北に細長く120坪(うち40坪は5mほど南下がりの斜面)の広さがあり日当たり抜群の切土の土地です。但し小石が多く通常のスコップでは掘れたかったので電動スコップを購入し作業しました。

・庭造りの基本計画は、地区の協定に従い、全て自分たち(奥様と2人)で施工すること。花壇の構成は、バラ畑にならないように楽しめる内容にすること。

・その結果、駐車場以外は、全て自分たちで施工した(材料を除く)。

・バラの移植に当たり、万一のことを考慮して挿し木で代替えを用意し、地植えしている株は全て鉢に移し替えて移植を行った。移植先ではHTは全て地植えとした。

・思ったよりも獣害(鹿、イノシシ、ハクビシン等)が多く、バラの新芽が食べられる被害があり、今後その対策が必要である。

・現在は未だ仕事を続けているので、旧宅での居住となっている。このため、新宅へは週末にしか行けず残念ながら管理が行き届かない。

・写真による説明では、家、庭共にとても素敵な庭造りの状況が伝わって来ました。まだ、管理が始まったばかりであり、今後のバラの成長に伴いさらに素敵なバラ園になるのではとの思いを強く持ちました。その時はお庭拝見を是非お願いしたいものです。

・最後に、「庭造りを考えている時が最も楽しかった。」と感想を述べられたことがとても印象に残りました。



(7月は野田が担当しました。)