2023/01/28

1月 講習会

 『春花の剪定』

講師 星隈 秀雄
(「月々の手入れ」p1~2参照)
・立春になると根が動き出す。地植えの場合、芽より先に根が動き出し白根が出てくる。そうすると樹液が流動し始める。剪定は2月初旬~中旬が適期で、剪定後しばらくすると、2月末~3月には芽が出てくる。剪定をしないと全ての芽が動き出す。

 

Ⅰ.HTの剪定

1.剪定に関する留意事項

・剪定をしないと株全体が盛り上がってしまうので絞り込む必要がある。
  • 強剪定:枝の高さを低く枝数を少なくし、新しい枝(ステム)を伸ばす。
  • 弱選定:上記の逆で、悪い点は株の下部が木化することである。木化すると新たなシュートが出にくくなるので、新しく出る枝の樹液の流れを良くし株を元気にすること。そうすれば、木化の下からシュートが出てくるのでそのシュートを育てること。
  1. 秋バラは剪定時期によって咲く時期がずれるが、春花は剪定が1カ月ずれても咲く時期は1週間も違わない。
  2. 2年以上経過していても老化していなければ残してよい。また、剪定を1回で行う人もいる。5枚葉が上から1~2枚より上では残していても直ぐに芽が動いて花が咲くのでそこより下で、シュートの付けねから10cm~20cmの間ぐらいのところで剪定する。
  3. カチンと音がするのは株が充実し木質部が厚くなっているからである。
  4. 樹勢が強い品種は、深く切ると暴れる場合がある。ただし、あまり気にする必要もない。
  5. 剪定時期は、自分は2月10日頃剪定している。

 

2.剪定の要領

(1)剪定

・どの枝が丈夫で強くなっているか見分けること。秋にシッカリと咲いた枝は良い枝である。
・剪定を繰り返していると年々剪定位置が高くなってくるので、下げる努力をすること。
・古い枝の下の方(木化した部分)にも芽が残っている。以前、葉が付いていた所には線が残っている。その線の上に芽が残っている。
・秋より春の方が花の数は減る。
・強剪定をするとシュートが出やすくなる。

(2)剪定位置

・芽が伸びる方向を考え枝が交差しないように選ぶこと。
・横張り性の品種では内芽で切った方が真っ直ぐに伸びる。
・鉢植えは、株元から20cm位の高さで切り、ミニバラでは3cm位出ていれば良い。
・ハサミ、革手袋、ノコギリ、トップジンMペースト(大きな株の切り口に使用)を準備する。

 

Ⅱ.HT以外のバラの剪定

1.FL(フロリバンダローズ)

・自分の場合は強剪定を行っている。弱剪定の場合は、1つの枝に咲く花数が少ないが、強剪定では1つの枝に10以上の花が咲く。脇からも芽が出てくる。株を全体的に見れば、強剪定と弱剪定では花の数はそう違わない。

2.Min(ミニチュアローズ)

 ・細い枝を残しすぎないように強剪定する。

3~5.S(シュラブローズ)、ER(イングリッシュローズ)、OR(オールドローズ)

・品種によって剪定方法が異なるので注意すること。

6.CL(クライミングローズ、つるバラ)

・早め(12月頃)に剪定すること。その方が曲げやすい。

 

Ⅲ・Ⅳ.施肥・かん水

・しない。

 

その他

・鉢植えは、12月に鉢替えを行うと芽が動くので、本剪定する位置より上でカットし、鉢替え後に本剪定を2月に行うこと。
・ナックルカットは、拳状のふくらみにある副芽のすぐ上で切るが、その場合、芽がいっぱい出てくるので芽かきを行うことが重要である。

 



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『座談会』

今回は単に3班に分かれて行われた。私が参加した班では、各会員からの種々の質問(鉢替え後の肥料のやり方、消毒薬の種類、消毒液の散布方法、ツルバラの誘引等)に対して副会長から説明が行われ、各人の疑問点の解消につながった。




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『バラ園にて剪定実習』

講師 星隈 秀雄

植物園内に福岡バラ会で管理しているバラ4株を対象に実習が行われた。

・バラの種類は、HTとFuの2種類で1本ずつ説明と実習が行われた。

・まず、勢いがある枝、勢いが弱い枝そして他の枝の邪魔になる枝の見分け方及び良い芽の見分け方の説明があり、その後勢いがある枝だけ残し、ひざの高さの位置で剪実習が行われた。

・剪定に併せて、枝の充実具合の実例として、切断面を見せてもらい木質部の充実状況を見ることが出来た。

・古い株などの木化しているところでは、以前葉が付いていた跡が線状に残っている実例を見せてもらい、その部分に未だ芽が残っているのでそこの上で剪定すると芽が動き出すとの説明があった。しかし、いざ実際に自分で剪定するとなると、実行できるか自信がないように思った。

・福岡バラ会で管理しているバラの周辺には、植物園で管理しているバラが沢山あり、既に選定作業が終わっている状況を観察して、枝の残し方、剪定位置等について多くの改善点がある旨の説明があり大変参考になった。

 





(1月は野田が担当しました。)

2023/01/16

12月 講習会

 『冬の手入れ、植え付け・移植、冬季消毒』

講師 星隈 秀雄
(「月々の手入れ」p25~26参照)
バラの栽培の1年は12月からスタートする。昨年1年間の手入れを振り返って今後の栽培計画をたてること。

・元肥入れ

できるだけ早く入れること。2月に入ると根が動き出すのでその時期の作業は根を切ることになる。従って元肥入れは早いほうがよい。また、肥料が土と馴染むのに時間がかかることも元肥を早く入れる理由の1つである

・植え直し

赤玉土を1~2袋入れて新しく土を作って植えること。(沖縄では冬が無いので株が休眠に入らない。従って移植が難しい。)

・大苗の植え付け

できるだけ植え穴を深く掘り植えること。植え穴が浅いと後々の成長に影響する。

・鉢の土替え

鉢植えも場合も土の入れ替えが必要である。

・つるバラの誘引と剪定

枝を地面から1mより低く曲げ下げすぎると養分が揚がらず、上に伸びた枝のほうに養分が回るのでその枝は1年程しか持たない。そういう枝はノコギリ等で切除する方がよい。
途中シュートが出ている場合、その先端20~30cm程切って誘引すること。

・薬剤散布

足下の表皮部分にダニが潜んでいるので、古い皮を剝離して石灰硫黄合剤等を散布すること。

・かん水

地植えではかん水は不要。鉢植えは過湿に注意して、土が乾いたら与えること。


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『座談会』

今回は出席者が少なかったため、新人とそれ以外の2班に分かれて行われた。私が参加した班では、会長から今後のバラ会の運営、例えば「お庭拝見」等について出来るだけ皆さんの意見を反映した内容としたいとの意向表明があり、意見交換が行われた。主な意見として「お庭拝見」については公園ばかりではなく、個人のお宅についても候補として欲しいとの要望があった。
また、福岡県内だけでなく、佐世保、佐賀、熊本の個人宅を拝見も有りとの意見がありました。


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『接ぎ木 切り接ぎの講義、実習』

講師 吉田 博美

・今年は台木の成長が悪く50本しか持参出来なかったとの事でした。台木は売っていないので自分で作ることをお勧めする。
私は野ばらの実(ローズヒップ、各人にローズヒップが配布されました)を
11月~12月に採取し、実の部分を水洗いし中の白い種を取り出す
1月~2月まで冷蔵
3月にパーライト等を混ぜた土に播種
6月移植
12月堀り上げ、もみ殻等を上にかぶせて根の部分が3cm程伸びるようにする。
この様な手順で台木を作っている。(台木の養生状況の写真)





・台木の根の長さは7~10cm程度とし、上部は台芽が出ないように根だけとする。

・台木を輪切りにすると外皮から1mm~2mmのところ師管と導管に挟まれた形成層(成長のもととなる分裂組織で、新しい細胞を作り出しているところ)がある。接木をするときに、台木と穂木が活着するためには、両者の形成層をあわせてつぐようにする必要がある。

・台木は、先端を斜めに一部切り取り形成層が見やすくし1.5cm程形成層に沿って縦にナイフを入れる。この時、切り口がデコボコにならないように注意すること。

・穂木は、斜めの切り落とし、さらに芽の下1.5cm以上形成層が出るようにそぎ取る。

・次に両者の形成層が接するように台木の切り口にシッカリと差し込む。両者の形成層は片側だけでも接していれば良い。

・テープ(メデール)で台木と穂木を巻いて固定する。穂木は乾燥を防ぐため穂木全体をテープで巻き上げる(上部の断面含む)。芽が動き出すとテープを突き破って出てくるので心配ない。

・最初は気温10℃程度の室内等に置き根が動き出すのを待つ。最初から気温15℃程度の中に置くと根より先に芽が動き出し失敗する。1月~2月頃には家の中の日当たりの良い所に置く。約2か月後には芽が伸張するので約7週間後に4号ポットに植え付ける。

・2月いっぱいまでは接ぎ直しできるので失敗を取り戻すことが出来る。私の接木の成功率は約80%で、接ぎ直しを入れると約90%である。

・ツルバラの根も10cm程度あれば台木として使用可能である。出来れば先端の方が若いので接ぎ効率が高い。

・この他、スタンダード仕立てとする方法として、野バラのシュートを取ってきて挿し木し、先端に穂木を接木する方法がある。そのほか、他のバラのシュートを利用して先端部に穂木を接木することも出来る。この場合接ぎ終わったらシュートの根に近い部分の皮を剥いで土を被せておくとその部分から根が出てくる。根が出たらカットして植木鉢等に移植することでスタンダードが出来上がる。

・この後、接木の実習があり、皆さん好みの穂木を選んでとても熱心に接木に取り組んでいたのが印象的でした。そして私も、自分で苗木を新しく作るという経験は何度やっても新鮮で興味深くとても楽しいものでした。



(12月は野田が担当しました。)