2022/10/07

9月 講習会


 「開花前後の手入れ、花枝の仕立て、芽欠き」

講師 星隈 秀雄


〇芽欠き

・芽の中で最も良い芽を選び、その他の芽は欠き取る。

・樹液の流れが良く勢いよく芽が出る枝と、そうではない枝がある。勢いよく芽が出でない枝は来年まで残しても良い芽がでないので、先を見て判断すること。樹液の流れが良い場合、細い枝でも2輪咲かせても良い。

・芽欠きは早めに行った方がよい。

・細い枝の種類は、肥料をあまり必要としないで良い花が咲き、太い枝の種類は、肥料を多く与えても良い花が咲く。

〇わき芽・副らい取り

・花枝のわき芽や主らいのそばの副らいは、HTの場合は出来るだけ早く取った方が良い。一方、HT以外のフロリバンダ等では、わき芽・副らいを残した方が花数が増えるのでそのままの方が良い。

〇花枝・花首直し、葉の傾き直し

・葉は、枝の傾きに関係なく太陽に対して水平に成長するので、枝が傾いている場合は、修正が必要となる。コンテストの2週間~10日前には修正が必要である。

・花首直しは、成長の途中なのであまり早い段階でしない方が良い。

〇バラの保護

・台風対策では、自分は屋根の部分も含め防風ネットを張ったのでネットの中にはほとんど風が入ってこなかった。現在、周りのネットは外したが、屋根の部分は張ったままにしている。

・雨が降ると花にシミができるのでビニール袋や傘等の保護が必要である。自分は屋根にビニールを設置して保護している。

・日光(紫外線)対策として、花弁が日焼けするのを防ぐためハトロン紙の袋をかぶせて方法があるが、自分はあまりしていない。

〇施肥

・春に比べ枝葉が弱々しくみえるので、つい肥料を遣りがちだが、やらない事。代りに水を遣ること(残っている肥料が吸収される)。又は窒素分の無い液肥を遣ること。

〇灌水

・地植えの場合は、1週間に1回雨が降れば遣る必要はない。鉢植えの場合は、今の時期は毎日午前中に1回、夏は朝夕の2回鉢底から水が出るくらい灌水すること。

〇薬剤散布

・この時期になると、ダニは心配ないが黒星病が出てくるので薬剤散布が必要である。

・自分はアザミウマに悩まされている。アザミウマが蕾に入って卵を産むと対処の仕様が無いのでアザミウマが蕾に卵を産む前(花芽が見え始めたと時に入る)に蕾を中心に回数を多くシッカリと消毒するのが良いと思う。

・消毒は、葉がまだ柔らかいときは、薄めに行うこと。

〇その他

・中耕は、草を取る程度であれば良いが、根が傷むので剪定が終わったら早めにやる方が良い。

・10月になると葉が黄色くなる場合がある。こうなると光合成が落ち、治るのに1カ月位かかるので、事前にキレート鉄を入れておくと良い。その他、微量元素(Mg、Ca、Fe)は重要である。

・コンテストに出展する場合、満開状態ではなく、未だ蕾がかたい位、或いは外の花弁が少し上を向いている状態で持ってくると丁度良い。

 



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座談会


今回も3班に分かれて、10月に開催される秋のバラ展について座談会が行われた。内容は、今回のバラ展は現在の場所では最後の開催となり、次回からは植物園奥に新築される建物で行われること。バラ会も11月からは新しい建物が完成するまで植物園奥の建物内で行う旨の説明があった。その後、バラ展への参加、出展、協力等についての確認及び入園証の配布があり、その後福岡バラ会のホームページのブログへの投稿方法の説明や投稿依頼があった。





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「鉢の植え替え」

講師 江上 志郎司

〇用語の説明

鉢上げ:露地植え、苗床、挿し木苗を鉢に植え替えること。

鉢増し:根鉢を崩さず一回り大きな鉢に植え替えること。

鉢替え:根鉢を崩して鉢の大きさを変えずに古い土から新鮮な土に入替えること。

〇鉢替え、鉢増しの時期

鉢替え、鉢増しは、手術と同じようにバラにとって大きなダメージを受けることになる。従って、真夏の猛暑時期などでは葉が気孔を閉じている時間が長くなり仮休眠期に入るので、梅雨明けから8月末までは鉢増しはしないようにすること。また、鉢替えの作業では根を触るので、ダメージが少ない冬の休眠期に行うこと。


〇鉢選び

鉢選びでは、通気性と排水性の良い鉢を選ぶこと。スリット鉢は底が上げ底になっていないので直接地面に置くと通気性が悪くなる。業者では大量に使用する場合に採用しており、吊るしたり、網底にして使用している。自分は鉢を2重にして使用している。

〇バラの用土

バラの用土は、保水性、排水性、通気性そして保肥性に優れた土を選ぶこと。

市販のバラ土の場合は、赤玉土を30%ほど入れてやると良い。

自分は、自己満足ですが、赤玉土中粒(35%)、赤玉土小粒(15%)、ボラ土(10%)、バーク堆肥(20%)、牛糞堆肥(5%)、ピートモス(長尺10%)、ゼオライト(5%)を用いてオリジナルの培養土を使用している。

培養土の基本は土である。自然の土に足りないものを補給してあげるものと考えている。良かれと思って色々な材料を入れるとドーピングと同じで苗が長持ちしないし、良い花が咲かない。京成バラ園でも60~70%は赤玉土を使用している。

〇新苗の植え付け、鉢増し

10号鉢にペットボトル3本を入れて根鉢を崩さないように植え付ける。こうすると7号鉢と同じ程度の土の量となる。鉢増しを行うときにペットボトルを引き抜いてその後に土を入れてやることにより鉢増しが完了する。

〇鉢増しの実習(2例)

1例目は、7号鉢から10号のスリット鉢への鉢増しの実習で、スリット鉢を2重にして江上さんオリジナルの用土を用いて行われた。

2例目では、ペットボトルを3本入れた10号鉢の鉢増し実習で、ペットボトルを抜き取り、その後に同じ用土を用いて行われた。

 

説明の中で、剪定の実習も行われ、剪定ばさみの消毒にはハイターが使用できるとの説明もあった。 



                                                                                                                                                                              

(9月は野田が担当しました。)