2022/12/24

11月 講習会

『1年間の反省、来年度の計画、植付』

講師 星隈 秀雄

〇秋ばらの反省(「月々の手入れ」p22参照)

・大事なことは、その木が丈夫に育っているかである。土の状態が良いと少しずつ丈夫になっていく。
・葉が落ちると木が弱るので、葉を出来るだけ残すようにすることが重要である。
・葉が落ちた場合、出来るだけその原因を突き止めること。葉が落ちる主な原因は黒星病とダニによる場合が多い。
・ダニが発生すると枝の割れ目などに生息し、温度が下がってくると木の根元に降りてきて、表皮の割れ目で越冬する。このため、少し濃い薬液でもいいので今の時期に駆除しておいた方が良い。また、寒くなってからは根元を中心に石灰硫黄合剤を散布すると良い。

〇今後の栽培計画(「月々の手入れ」p22参照)

・植え床、植え穴等の準備をする場合、後の管理を考えて株と株の間を1m程の間隔を取るようにすること。冬の元肥を入れる場合、耕作幅として30~ 40cm程は必要となるので、株の周り30cmより外側を掘り返すことを考えると1m程の間隔が必要となる。
・12月がバラ栽培のスタートなるので1年間の手入れを振り返り、今後の栽培計画を立てること。

〇花後の手入れ、1年間のバラ栽培のまとめ(「月々の手入れ」p23~24参照)

・12月に元肥を入れる作業を行い易いように不要な枝や弱小な枝を除去しておくこと。また、元肥を入れる作業を行うと根を掘り返すことになるが、上述の様に枝を除去しているので根を切っても問題は無い。
なお、植え替えする場合は、2/3程度を剪定すること。

・かん水

地植えでは必要無い。鉢は冬でも乾燥するので、土が乾いたら与えること。

・お礼肥

春には与えるが、秋にはあまり必要ない。

・薬剤散布

病気等の発生が無くとも1回ぐらいは予防薬や殺虫剤を散布すること。病気やハダニが発生していたら治療し越冬しないようにすること。

・植え穴、植え床の準備

植え込み作業前に出来るだけ深い穴を掘り堆肥、油かす、骨粉などの有機肥料などを入れ土と混ぜておくこと。
堆肥は土壌を改良し、土をふかふかの状態にする作用がある。
堆肥の種類としては、バーク堆肥や牛糞堆肥などがあるが、堆肥は量を多く与えるので入れすぎると肥料効果が出る。肥料分が少ない堆肥の方が扱い易い。牛糞堆肥の場合はアルカリ度や塩分が多いので注意する。
肥料よりも堆肥の方が重要である。土壌が良くならないと肥料の効きが悪い。

・土壌検査

検査を行うと施肥量の修正がやりやすくなる。勘で適当に施肥を行うと肥料が残って蓄積され肥料過多の状態となる。最初の段階では肥料を入れる必要があるが、続けていくと窒素は途中で土壌から次第に無くなっていくが、リンとカリは土壌内に残り、リン酸過多になりやすい。農協で1ヶ月程かかるが、1回2,000円程度で行ってくれるのでお勧めする。
塩基置換容量というのがあり、数値として30くらいが欲しいところである。値が大きくなると土が肥料を持ちこたえる力が大きくなり体質が強化され育てやすくなる。この値は堆肥を入れ続けると次第に大きくなっていくが、数値を1上げるのに1年近くかかる。他の方法としてゼオライトを入れてやると値が上がる。
この他に、微量要素として、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン等を少量入れると良い。(「月々の手入れ」p35参照)

〇その他

・若い枝を出させていい花を作ること。バラは、先端しか成長点が無いので、出来るだけ低く剪定すること。
・自分は、元肥入れの作業は1月は寒くなるので年末までに作業を行っている。
・鉢植えの植え替えは、12月に行っても良い。ただし上部は剪定すること。
・秋の剪定したシュートに鉄不足の場合は葉脈に症状が現れる。鉄(キレート鉄3000倍)を与えると1ヶ月かかるが治る。
・マグネシウムが不足すると、木の下の方の葉にあるマグネシウムが移動して、葉の回りが黄色くなる。この場合、マグネシウムを与えても下葉の黄色くなった葉は治らない。
・不足要素を与える場合、根から吸収されにくいので葉面散布で行った方が良い。




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『座談会』


今回も3班に分かれて、各人が抱えている課題等について話し合いが持たれた。
今回から新しい場所での開催となったが、今までより少々狭く隣の班の声が交差し、やや聞きづらい状況が見られた。4月から新築の場所に移転するのでそれまでの辛抱だろうと思いました。




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『元肥入れの実習』(バラ園にて)

講師 星隈 秀雄

・用意する材料は、4株のバラに対してバーク堆肥(コンパ)40L(10L/株)及び骨粉入り油かす2kg(0.5kg/株)
・まず今後不要となる枝を除去する。
・幹から30cm程離して回りを鍬(3本爪)でほぐしコンパ(バーク堆肥)や肥料をまきと一緒にかき混ぜる。この時、浮いた根は切除する。
・ダニは寒くなると根元に移動し表皮の隙間で越冬するので表皮をこさいだり、石灰硫黄合剤を根元にまいて駆除する。 
・この後は2月の本剪定まで何もしなくて良い。
・消毒は通常の濃度の予防薬や殺虫剤を1回/月程度散布すること。
・黒星病に感染している場合は、感染している葉を取り除きゴミ袋等に捨てること。罹患した葉が下に落ちると土に菌が入り込み引き続き病気が発生する。



(11月は野田が担当しました。)