2023/01/16

12月 講習会

 『冬の手入れ、植え付け・移植、冬季消毒』

講師 星隈 秀雄
(「月々の手入れ」p25~26参照)
バラの栽培の1年は12月からスタートする。昨年1年間の手入れを振り返って今後の栽培計画をたてること。

・元肥入れ

できるだけ早く入れること。2月に入ると根が動き出すのでその時期の作業は根を切ることになる。従って元肥入れは早いほうがよい。また、肥料が土と馴染むのに時間がかかることも元肥を早く入れる理由の1つである

・植え直し

赤玉土を1~2袋入れて新しく土を作って植えること。(沖縄では冬が無いので株が休眠に入らない。従って移植が難しい。)

・大苗の植え付け

できるだけ植え穴を深く掘り植えること。植え穴が浅いと後々の成長に影響する。

・鉢の土替え

鉢植えも場合も土の入れ替えが必要である。

・つるバラの誘引と剪定

枝を地面から1mより低く曲げ下げすぎると養分が揚がらず、上に伸びた枝のほうに養分が回るのでその枝は1年程しか持たない。そういう枝はノコギリ等で切除する方がよい。
途中シュートが出ている場合、その先端20~30cm程切って誘引すること。

・薬剤散布

足下の表皮部分にダニが潜んでいるので、古い皮を剝離して石灰硫黄合剤等を散布すること。

・かん水

地植えではかん水は不要。鉢植えは過湿に注意して、土が乾いたら与えること。


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『座談会』

今回は出席者が少なかったため、新人とそれ以外の2班に分かれて行われた。私が参加した班では、会長から今後のバラ会の運営、例えば「お庭拝見」等について出来るだけ皆さんの意見を反映した内容としたいとの意向表明があり、意見交換が行われた。主な意見として「お庭拝見」については公園ばかりではなく、個人のお宅についても候補として欲しいとの要望があった。
また、福岡県内だけでなく、佐世保、佐賀、熊本の個人宅を拝見も有りとの意見がありました。


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『接ぎ木 切り接ぎの講義、実習』

講師 吉田 博美

・今年は台木の成長が悪く50本しか持参出来なかったとの事でした。台木は売っていないので自分で作ることをお勧めする。
私は野ばらの実(ローズヒップ、各人にローズヒップが配布されました)を
11月~12月に採取し、実の部分を水洗いし中の白い種を取り出す
1月~2月まで冷蔵
3月にパーライト等を混ぜた土に播種
6月移植
12月堀り上げ、もみ殻等を上にかぶせて根の部分が3cm程伸びるようにする。
この様な手順で台木を作っている。(台木の養生状況の写真)





・台木の根の長さは7~10cm程度とし、上部は台芽が出ないように根だけとする。

・台木を輪切りにすると外皮から1mm~2mmのところ師管と導管に挟まれた形成層(成長のもととなる分裂組織で、新しい細胞を作り出しているところ)がある。接木をするときに、台木と穂木が活着するためには、両者の形成層をあわせてつぐようにする必要がある。

・台木は、先端を斜めに一部切り取り形成層が見やすくし1.5cm程形成層に沿って縦にナイフを入れる。この時、切り口がデコボコにならないように注意すること。

・穂木は、斜めの切り落とし、さらに芽の下1.5cm以上形成層が出るようにそぎ取る。

・次に両者の形成層が接するように台木の切り口にシッカリと差し込む。両者の形成層は片側だけでも接していれば良い。

・テープ(メデール)で台木と穂木を巻いて固定する。穂木は乾燥を防ぐため穂木全体をテープで巻き上げる(上部の断面含む)。芽が動き出すとテープを突き破って出てくるので心配ない。

・最初は気温10℃程度の室内等に置き根が動き出すのを待つ。最初から気温15℃程度の中に置くと根より先に芽が動き出し失敗する。1月~2月頃には家の中の日当たりの良い所に置く。約2か月後には芽が伸張するので約7週間後に4号ポットに植え付ける。

・2月いっぱいまでは接ぎ直しできるので失敗を取り戻すことが出来る。私の接木の成功率は約80%で、接ぎ直しを入れると約90%である。

・ツルバラの根も10cm程度あれば台木として使用可能である。出来れば先端の方が若いので接ぎ効率が高い。

・この他、スタンダード仕立てとする方法として、野バラのシュートを取ってきて挿し木し、先端に穂木を接木する方法がある。そのほか、他のバラのシュートを利用して先端部に穂木を接木することも出来る。この場合接ぎ終わったらシュートの根に近い部分の皮を剥いで土を被せておくとその部分から根が出てくる。根が出たらカットして植木鉢等に移植することでスタンダードが出来上がる。

・この後、接木の実習があり、皆さん好みの穂木を選んでとても熱心に接木に取り組んでいたのが印象的でした。そして私も、自分で苗木を新しく作るという経験は何度やっても新鮮で興味深くとても楽しいものでした。



(12月は野田が担当しました。)